哲学者エリオット・ソーバーと生物学者デイビッド・スローン・ウィルソンは群選択説を再評価し、それを拡張したマルチレベル選択説(多レベル淘汰)を提唱した。彼らはある形質に注目したとき、その形質が影響を及ぼす個体群を形質集団(Trait Groups)と定義した。たとえばビーバーで言えば一つのダム湖に住むビーバーはダムを造るという形質の影響を受けているため、みな一つの形質集団に属する。その中にはダムを造らない個体が含まれていても構わない。子育てという形質に注目すれば、ビーバーの家族一つ一つが異なった形質集団に属することになる。そしてこの形質集団を自然選択を受ける単位と見なし、そこに起きる選択を形質集団選択と呼んでいる。形質集団は地域個体群全てを含む場合もあるし、家族などの小集団の場合もある。一つの個体が複数の形質集団に含まれていると考えられる。つまり、形質集団選択によれば、自然選択は遺伝子や個体だけでなく、家族のような集団といった様々なレベルで働いていると解釈できる。彼らによれば血縁選択集団や互恵的利他行動を行う集団は形質集団であり、マルチレベル選択の一種に過ぎない。
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しかし形質集団が大きければ内部からの転覆に弱いというG・ウィリアムスの指摘は有効である。形質集団は規模が小さければ小さいほど選択に残りやすくなる。最終的には実際に働く形質集団選択は血縁選択と同義であり、ウィルソンらもそれを認めている。個体選択説や遺伝子選択説(血縁選択説もこの一つ)が、選択が様々なレベルに起こることを考慮していないわけではない。R.ドーキンスは群選択という語を再び用いるのは混乱の元でしかないと批判している。